高座に上がるときのテーマソング。二つ目以上の噺家は、一人一人自分の曲を持っている。したがって、通な客になると出囃子を聴くだけで登場する噺家が分かるのである。
以下に、現代の噺家の出囃子をいくつか紹介する。
●桂米丸 → 金比羅舟々
●桂歌丸 → 大漁節
●三遊亭円楽 → 元禄花見踊
●柳家小三治 → 二上りかっこ
●立川談志 → 木賊刈り
●立川志の輔 → 梅は咲いたか
●橘家円蔵 → 虎退治
●春風亭小朝 → さわぎ
●林家こぶ平 → 祭ばやし
●三遊亭小遊三 → ボタンとリボン
出囃子に合わせて高座の中央に歩き、座布団に座り、客席に向かって深々とおじぎをし、ゆっくりと頭をあげて正面を向くと同時に出囃子が終わる、というのが一人前の噺家である。
【余談ですが】
深志落研では、当然(?)出囃子はカセットテープにLPからダビングしたものを使っていました。いつの先輩が録音してくださったのかは忘れましたが、代々同じ曲を大事に大事に使っていたのです。
しかし、私たちの時代、これではつまらないなと思い、プロの噺家のように自分のテーマソングを決めたらどうかという意見が出されました。
とんぼ祭の直前、思い思いの曲を持ち寄り、各自のテーマソングに乗って高座に登場する練習をしました。
R.N君が「魅せられて」にあわせ、ジュディ・オングのように着物を広げながら登場するのもよかったのですが、何と言ってもF.Nさんと「勝手にしやが れ」の組み合わせが最高に嵌っていました。彼女は身長が170cmあり、まさに男装の麗人。そのまま宝塚に行っても男役が勤まりそうなほど格好良かったの です。思わず「ジュリー!」と声を掛けたくなるほど・・・
散々練習したあげく、本番ではこの企画は没になりました。出囃子で受けすぎて、落語が受けなくなることを危惧したからです。
一回くらい試してみたかったですけどね。