まくら

 落語の本題に入る前に話す短い話(時には、柳家小三治のように、まくらだけで延々1時間も話す噺家もいる)。
 一般的には、時候の話題、時事ネタ、小咄などを取り入れ、ここでぐぐっとお客の心をつかむ。さらには、落語と関連した内容を取り入れることができれば、 その後の本題が格段とやりやすくなったりするので、まくらはこれでなかなか重要である。
 プロともなると、まずは舞台の上からその日の客席を観察し、客層に合わせたまくらを話す人もいるようである。しかし、我々がこれをやったら、まずしどろもどろになることに疑いはない。

【余談ですが】
 落語を志す者としては、せめてまくらぐらいはオリジナリティのある話をしたいと思い、時事ネタやら小咄やらの収集に日々努め、自分なりのまくらを作ります。
 しかし、新入生の頃は、なかなかそこまでは出来ず、私などはプロの噺家のまくらをそのままコピっていました。私のお気に入りは、四代目春風亭柳好のまく らで、結構笑いを取ることができました。内容は比較的簡単ですので、以下に紹介します。
 「ええ、落語を演らせていただきます。(うまくいけば、ここで笑いが取れる)一口に落語と言いましても、人によっていろいろと演り方がありまして、私の 場合は、他人とは少~しやり方が変わっているのでございます。最初のうちは、あんまり面白くありません。そこを我慢して、その先を少し聞くってえと・・・ 退屈をいたします。そこでくじけずに、さらにその先を聞くってえと・・・眠くなります。しかし、ここで諦めちゃあいけません。さらにぐっと我慢しておしま いまで聞くってえと・・・あっやっぱり下手だったと・・・」