幽霊部員

 落研事件簿のコーナーでも紹介しましたが、深志には部員数が10名を切ると「部」でいられなくなるという制度がありました。

 そのため、「とりあえず名前だけ貸してくれ。落語はやらなくてもいいから」とお願いし、名義だけ落研部員となっている方々が何名か存在していました。
 このような人々を「幽霊部員」と呼びます。
 幽霊部員の皆さんはそれぞれ自分の本拠となるサークルに所属しているのですが、大概の方は本拠よりも落研の部室に入り浸っている時間の方が長かったような気がします。
 それは、落研ナポレオンのレベルが高かったこと、部室が二階角部屋にありそのため他の部室に比べ若干広めで居心地がよかったことなどが理由として挙げられます(私が勝手に挙げているだけですが)。
 それと、体育会系サークルの部室に比べて汗臭くもないし。
 中には、落研部室を逢い引きに利用しているカップルもいました。
 二人とも本拠は違うサークルなので、ただただ二人で一緒にいたいがために落研の幽霊部員になっているというわけです。
 二人でイチャイチャしながらナポレオンに参加しているのを見るにつけ、行き場のない憤りを感じ夕日に向かって「ばかやろう!!」なんて叫んでいた奴・・・はさすがにいませんでしたが、思春期後半の異性には縁がなかった多くの落研部員にとってはあまりうれしいものではなかったようです(そうでもないかな?)。
 ごくたまにですが、部室の扉を開けるとその二人しかいなかったりすることがあるわけです。
 こういうときはさすがに気まずい空気が流れます。あっマズイ現場を見ちゃった・・・てなこともあり。
 幽霊部員同士じゃなくても、正規部員同士のカップルもおりましたので、部室の中が妙に静かだったりすると扉を開ける前にわざと足音を大きくしたりして、気を遣っておりました。
 とは言いましても、幽霊部員の皆さんを通じて他のサークルの情報も入ってきますので、重宝はしておりました。
 幽霊部員の皆さんはOB会には入っていませんので、二度とお会いすることが出来ないのは非常に残念です。