タバスコ度胸試し

 インベーダーゲーム全盛期だった当時、土曜日の放課後、我々の溜まり場といえば、当然の如くインベーダーゲームが設置してある喫茶店であった。特に、中町通りを少し入ったところにある喫茶店「アリマ」が一ばんのお気に入りだったのだが、残念ながら今はない。ついでにいえば、喫茶店ではないが、スパゲッティ専門店の「ヤマナミ」も今はない。あの個性的な甘ったるいソースは、どこに行っても味わうことはできないであろう。大変残念なことである。《注》
 さて、アリマのナポリタンは昔ながらのケチャップ味で、麺はやや太め、ウィンナーとピーマンとタマネギが適度に密集していて、決して「うまい!!」というわけではないが、時折無性に食べたくなる懐かしい味だった。ここでの憩いのひとときが、1週間の勤勉なる高校生活の疲れを癒すのである。
 しかし、一時期あまり嬉しくないゲームが流行った。喫茶店に置いてあるタバスコをひたすら使い切ろうという行為である。「あら、Aさんに比べてBさんのタバスコの量が少ないんじゃないの?男は度胸!!」。そんな女子たちの言葉に乗せられて、Bは折角のナポリタンを台無しにする行為に走るのである。男子が3人集まれば、タバスコの三分の二は使い切ったのではないだろうか。そしてもちろん、大量にタバスコがかかったナポリタンを残さず食べるのである。馬鹿としか言いようがない。若気の至りというべきか、若気のイタリア料理なのである(んっ?これが言いたかったのね)。
注》ヤマナミは復活したそうです。詳しくは、松本と深志に纏わる用語集 へ。


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