ギャグを言う幽霊(松本城の怪奇)

※S56年卒のS.M.氏からの投稿を元に作成。


 我々が高校生だった頃、松本市内4高(県ヶ丘、蟻ヶ崎、美須々ヶ丘、深志)の落研による、「松本四高合同落語会」なるものが年に一度催されていた。
 場所は、本町にある「カワイホール」というところだった。(今もあるのかな?) 不確かな記憶ではあるが、300名程度収容できる会場で、普段口演を行っていた図書館の2階(約200名収容)よりは、大勢のお客さんを前に落語を演ったような気がする。
 会場前での呼び込みは1年生の役割であるが、「落語口演いかがっすか~」という呼び込みを松本の繁華街で行わねばならず、ウブな新入部員には結構辛い試練だった。

 我々が3年生の時、4高の出演メンバーが集まって、どこかみんなで落語の練習ができる良い場所はないものかと、相談した結果、松本城公園で行うことと なった。芝生やベンチの上に正座をして、各自で練習をするのである。練習している側を学校帰りや仕事帰りの人たちが、好奇な目で見ながら通り過ぎていっ た。中には笑ってくれる人もいたが、そういう慈悲深い人々の存在は我々を勇気づけてくれた。

 明るいうちは特にどうということはないのだが、暗くなってから事件(?)は起きた。
 なにしろ暗闇でぶつぶつとなにやらつぶやきが聞こえてくるのである。通行人は怖くて通れずに引き返してしまう人もいる。OLとおぼしきお姉さんたち(そういえば、OLといえばお姉さんだったんだなぁ・・・しみじみ)、「えっ?誰かいるよ。何か言ってるよ。幽霊?幽霊のくせにギャグ言ってる。でも、ちっともおもしろくないじゃん!」と捨てぜりふを残して去っていった。

 さて、結局のところ、落語口演はうまくいったのだろうか?残念ながら記憶にはない。(このコーナー、これが多いなぁ) ただ、女性部員の多い蟻ヶ崎や美 須々ヶ丘の人たちと一緒に練習できるのが嬉しかった。(県ヶ丘の人、怒らないでね)
 また、練習のあとでみんなで食べた「ヤマナミ」のナポリタンがおいしかったことは、しっかり記憶にある(結局ヤマナミかぁ・・・)。


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