夜行軍

 夏休みになると郷友会の有志で集まって、夜から朝にかけて約50kmに及ぶ道のりをひたすら歩いた。

 一例を挙げると、筆者の所属する波田郷友会の、ある年には、島々を18:00に出発し、奈川渡ダムを通り、野麦峠方面に向かい、木曾の薮原まで行ったことがあった。
 深夜、人っ子一人いない山道を歩いていると妙に気が大きくなり、Gメン’75を真似して道いっぱいに広がって歩いてみたり、あるいは「じ~んせい、ら~ く~あ~りゃ~、く~もあ~る~さ~」と水戸黄門の真似をしてみたり、と馬鹿なことをして喜んでいたが、他の郷友会の奴に訊いても、状況は似たようなもの であった。